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アドラー心理学(解説②)

目次

1.アドラー心理学の用語

アドラー心理学の特徴である、以下の三つの用語について解説いたします。
①勇気づけ
②共同体感覚
③課題の分離
いずれもアドラー心理学においてとても重要な用語ですので、詳しく見ていきましょう。

① 勇気づけ

アドラー心理学の中でも極めて重要な用語である、「勇気づけ」について解説します。アドラー心理学における勇気とは、「困難を克服する活力」のことです。一般的に使われている「勇気」とは意味合いが異なるので、気を付けてくださいね。そして、勇気づけとは、「困難を克服する活力を与えること」です。

勇気づけを行うための前提条件としては、相手と、相互尊敬相互信頼の関係性を築くことが挙げられます。「相互尊敬」とは、相手の尊厳を大切にし、礼節を持って接することです。日本語で尊敬というと、先輩や上司に対してするものだと考えている人もいるようですが、アドラー心理学における尊敬は、部下や年下の人も含めた、あらゆる人に対する尊敬を指します。また、上司-部下、先輩-後輩などの上下関係は無く、全ての人は対等であるという考え方が大前提です。

一方、「相互信頼」とは、相手のありのままを、無条件で信じることです。それまでの行為・業績を元に信じる「信用」とは異なり、「信頼」は、無条件で相手自身を信じることを指します。相手が信じたから自分も信じる、という姿勢ではなく、自ら先に相手を信頼することが、相互信頼の第一歩です。

また、アドラー心理学では、「褒める」「勇気づける」の違いを明確に指摘しています。「褒める」行為は、時として、逆効果になる場合があるのです。
「褒める」行為が逆効果になるのは、上から目線で評価されていると感じたり、褒められないと行動できない人になってしまったりするからです。
皆さんは、上司から褒められることはあるかも知れませんが、上司を褒めることはありますか?このように、「褒める」行為は、上から目線の行為であると認識しましょう。

一方、「勇気づける」は、お互いの尊敬・信頼をベースに、困難を克服する活力を与える行為です。上下関係による評価などは一切なく、ありのままの相手に共感して行うのが勇気づけるです。

また、基本的に、「褒める」行為は、相手が自分の期待に応える行為を行った時にしか行うことは出来ません。そのため、相手が自分の期待に応えなかった時は、逆に失望を表現されるかも知れません。
しかし、「勇気づける」行為は、相手の関心があることに言及するので、自分の期待などとは一切関係なく行うことが出来ます。

以下に、勇気づけの言葉の例を挙げます。

相手の努力や成果を認め、肯定する言葉
・あなたのおかげで、みんな助かったよ!
・あなたの努力のおかげで、チームは成功したんだ!
・わざわざここまで来てくれてありがとう!
・もの凄く頑張ったんだね~。感動したよ!

相手の可能性や潜在能力を信じる言葉
・あなたなら、きっと出来るよ!
・あなたは、きっと素晴らしいことを成し遂げるよ!
・あなたには、無限の可能性があるよ!

相手の悩みや苦しみに寄り添う言葉
・あなたの気持ち、分かるよ!
・私は、あなたの味方だよ!
・私と一緒に乗り越えよう!
・どんな経験も、必ず未来の糧になるよ!

いくつかの例を挙げましたが、あくまでも一例ですので、相手の状況や気持ちに合わせて、適切な言葉を選ぶことが大切です。
勇気づけ

② 共同体感覚

「共同体感覚」とは、自らが所属する共同体に対する「所属感」「安心感」「信頼感」「貢献感」を総称した感覚の事です。自らが所属する共同体とは、家族や職場、友人グループなどのことです。この共同体感覚を持つことこそが、アドラー心理学が最終的に目指すゴールです。なお、勇気づけと共同体感覚はセットであり、自身や他者に対して勇気づけが実践できれば、共同体感覚を持っていると言えます。

共同体感覚を持つために必要となる要素は、以下の四つです。
①自己受容
②他者信頼
③他者貢献
④所属感

自己受容」とは、自分自身をありのままに受け入れるということです。自分の長所や短所、良いところや悪いところをすべて受け入れることで、他者を受け入れ、信頼しやすくなります。

他者信頼」とは、他者を信じることができるということです。他者に期待や見返りは求めず、無条件に信頼することが大切です。他者を信じることで、共同体の中で安心して生活することができます。

他者貢献」とは、他者のために役立ちたいという気持ちを持つことです。他者のために役立つことで、共同体への帰属感や充実感を得ることができます。

所属感」とは、自分が共同体の一員であるという感覚を持つことです。所属感を持つことで、共同体の中で安心して自分らしく生きることができます。

これらの要素は、相互に関連し合っています。例えば、自己受容ができていれば、他者も受け入れやすくなります。他者信頼ができていれば、他者のために役立ちたいという気持ちが生まれやすくなります。このように、共同体感覚を高めるためには、これらの要素をバランスよく育んでいくことが大切です。

なお、共同体感覚を持つ際に大切なのは、より大きな共同体の視点に立って考えることです。
友達との絆を優先するあまり、バスの中で大声ではしゃぐのはどうでしょうか。友達グループは大切な共同体ですが、地域社会は、より大きな共同体です。より広い共同体の視点を持つことによって、対立や、矛盾の無い問題解決に近づくことが出来ます。

また、私たちは、他者の役に立っていると感じた時に、自分の価値を心から実感出来て、幸せを感じます。そのため、共同体感覚は、人生を幸せに導くカギとなります。 共同体感覚

③ 課題の分離

「課題の分離」とは、自分の課題と他人の課題を分けて考えることです。
自分の課題は、自分自身でコントロール出来ます。しかし、他人の課題は、自分自身ではコントロール出来ませんし、コントロールしようとすべきでありません。おおよそ人間関係のトラブルは、自分が他人の課題に土足で踏み込むこと、もしくは自分の課題に他人が土足で踏み込んでくることに起因します。

例えば、親が、「勉強しなさい!」と子供に無理強いするとします。勉強するかどうかは、子供自身の課題であって、親の課題ではないのに、親が介入してコントロールしようとすることにより、親子関係に軋轢が生じます。

自分の課題と相手の課題を明確に区別し、相手の課題には決して土足で踏み入らないことが、アドラー心理学におけるコミュニケーションの第一歩です。
なお、他人の課題について、他人から協力や助けを求められることもあります。その場合は、自分の課題と他人の課題が「共同の課題」となりますので、協力や助けをしても大丈夫です。但し、責任の所在を明確にするためにも、「ここまでは協力できる」「ここからは出来ない」といった線引きはしておいた方がよいでしょう。 課題の分離

2.アドラー心理学を学ぶメリット

アドラー心理学を学ぶことで、対人関係における悩みは激減するでしょう。アドラー自身が、「人間の悩みは、全て対人関係の悩みである」と言っていますが、アドラー心理学を学ぶことで今まで対人関係で悩んでいた原因に気づくことができ、その対策も学ぶことが出来ます。

また、アドラー心理学は、「所有の心理学」ではなく、「使用の心理学」です。すなわち、何が与えられているのかではなく、与えられたものをどう使うかに焦点を当てています。そのため、人間は運命に流される存在ではなく、自分の運命は、全て自分自身で決めることが出来ます。過去の自分がどうであれ、今この瞬間から、あなたは変わることが出来るのです。
アドラー心理学を学ぶメリット

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3.オススメ書籍

悩みが消える「勇気」の心理学

『悩みが消える「勇気」の心理学』の画像

本書は、初めてアドラー心理学に触れる人に向けて、そのエッセンスを文章と図解を用いて分かりやすくまとめられています。そのため、初めてアドラー心理学に触れる人にとって、とても学びやすい本です。また、既にアドラー心理学を学んでいる方にとっても、体系的に復習することが出来ます。

本書は、数あるアドラー心理学に関する本の中でも特に分かりやすく、管理人ヒラちゃんが、最もオススメするアドラー心理学の本です!

愛と勇気づけの子育て

『愛と勇気づけの子育て』の画像

本書は、日本でのアドラー心理学の普及と実践に長年力を注いできた著者自身が、家庭で実践した子育て体験を元に、アドラー心理学の教えである「尊敬」「信頼」「共感」「勇気づけ」に基づいた子育て方法について詳しく解説されています。著者の体験に基づいて解説されているため、かなり具体的で分かりやすく、実際の子育てでもすぐに実践可能な内容が盛りだくさんです。

子どもを勇気づけるための具体的な方法や、子どもの自立心や責任感を育てていく方法、子どもの豊かな人間関係と社会性を育む方法などが詳しく述べられています。現在子育てをされている方は、是非ともお読みになってみてはいかがでしょうか。

4.コント

下記ページにて、アドラー心理学をコントで解説しております。是非ともご覧ください。
・コント(自己決定性・目的論)
・コント(全体論・認知論)
・コント(対人関係論・勇気づけ)
・コント(共同体感覚・課題の分離)

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