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目次
色には、「有彩色」と「無彩色」の2種類があります。 「無彩色」は、白、黒、グレーの三つで、色味を持たない色のことです。後述する、色相と彩度の属性を持たず、明度の属性のみを持ちます。なお、グレーに関しては、明度による色の幅がかなりあります。 「有彩色」とは、赤、青、緑など、色味を持つ色で、無彩色以外全ての色を指します。後述する、色相、明度、彩度の全ての属性を持ちます。 なお、無彩色に対して、ごくわずかに色味がかかったものを、「準無彩色」と呼ぶことがあります。「準無彩色」は、本来は有彩色の仲間ですが、色味がわずかであることを示すために、有彩色ではなく準無彩色として区別されることがあります。 例えば、アイボリーやチャコールグレー、スカイグレーなどは、準無彩色です。アイボリーはわずかに黄みがかっており、チャコールグレーは、わずかに紫みがかかっています。また、スカイグレーは、わずかに青みがかかっています。
色には、「色相」「明度」「彩度」の、三つの属性があります。 色の三属性の一つ目は、「色相」です。色相とは、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫のような、色みのことを指します。 色相は、可視光線と呼ばれる電磁波の波長によって決まります。人間が目で見える可視光線の波長は、約380nmから約780nmです。 可視光線の中で波長が最も長いものは赤色に、最も短いものは紫色に見えます。そのため、可視光線の780nmを超える波長を赤外線、380nmを下回る波長を紫外線と呼びます。光の仕組みについては、別のページで詳しく解説する予定です。 色の三属性の二つ目は、「明度」です。明度とは、色の明るさの度合いの事です。白が最も明度が高く、黒が最も低いです。 また、有彩色においては、「純色」と呼ばれる、各色相の中で最も彩度が高い色においては、黄色が最も明度が高く、青紫色が最も明度が低いです。純色に対して、白を混ぜると明度が高くなり、黒を混ぜると明度が低くなります。彩度は、白を混ぜた場合も黒を混ぜた場合も低くなります。 色の三属性の三つ目は、「彩度」です。彩度は、色の鮮やかさの度合いを表します。彩度が高いほど、色みが強くくっきりと見えます。彩度が低いほど、色みが弱くくすんで見えます。ある純色に対して、同明度の灰色を加えると、色相と明度は同じままで、彩度のみを下げることが出来ます。
有彩色は、無彩色の色の混ぜ具合によって、「純色」「清色」「濁色」の三つに分けることが出来ます。 「純色」は、各色相の中で、最も彩度が高い色のことです。言い換えると、各色相に対して白・黒・グレーの無彩色を一切加えていない色のことです。 「清色」は、純色に、白のみ、または黒のみを混ぜた色のことです。純色に白のみを混ぜた色のことを「明清色」、純色に黒のみを混ぜた色のことを「暗清色」と言います。 「明清色」は、純色よりも彩度は下がりますが、明度は上がります。「暗清色」は、純色よりも彩度が下がり、明度も下がります。 「濁色」は、純色に、グレーを混ぜた色のことです。 色から受ける心理的な印象としては、「純色」は、華やかで力強い印象を、「明清色」は、明るく柔らかい印象を受けます。また、「暗清色」は、落ち着いた印象や重厚な印象を、「濁色」は、穏やかさや控えめな印象を与えます。 但し、上記は明度と彩度に着眼点を置いたイメージであり、色相によってもイメージが異なってくるという点は、押さえておきましょう。
有彩色は、その色の持つ暖かさや冷たさなどのイメージから、「暖色」「寒色」「中性色」の三つに分けることが出来ます。なお、無彩色は、中性色に含まれます。また、「暖色」「寒色」「中性色」といった分類は、色相にのみ焦点を当てたもので、明度や彩度は一切考慮していません。 「暖色」とは、赤、オレンジ、黄などの、暖かいイメージを連想させる色のことです。暖色系の色は、明るく元気な印象を与えます。また、実際の距離よりも近く(=進出して)見えることから、進出色とも呼ばれます。 「寒色」とは、青、水色、青緑、青紫などの、冷たいイメージを連想させる色のことです。寒色系の色は、落ち着いた印象を与えます。また、実際の距離よりも遠く(=後退して)見えることから、後退色とも呼ばれます。 「中性色」とは、暖色と寒色の中間的な色のことです。暖色にも寒色にも属さない、黄緑、緑、紫、赤紫などが含まれます。緑は「自然」「調和」などの印象を与え、紫は、「高貴」「気品」「神秘」などの印象を与えます。
「色相」「明度」「彩度」の色の三属性は、我々の心理に大きな作用を及ぼします。 「色相」が示す心理効果には、先ほど述べた、「寒暖感」「進出・後退感」や、「興奮・沈静感」などがあります。 ◆寒暖感 赤、オレンジ、黄などの暖色系の色は暖かく感じ、青や青紫などの寒色系の色は冷たく感じます。 実際に、寒色系の服を着た場合と暖色系の服を着た場合では、体感温度に約3℃ほどの差が出ると言われています。 ◆進出・後退感 暖色系の色は進出して見え、寒色系の色は後退して見えます。すなわち、暖色系の色は、実際よりも近い距離に見え、寒色系の色は、実際よりも遠い距離に見えます。そのため、部屋の壁などに暖色系の色を広い面積で使うと、部屋が狭く感じられます。逆に、寒色系の色を広い面積で使うと、部屋が広く感じられます。 また、進出色は、背景色との明度差が大きいほど、より進出して見えるという特徴もあります。後退色も同様に、背景色との明度差が大きいほどより後退して見えます。 ◆興奮・沈静感 暖色系の色には、人を興奮させる効果があり、寒色系の色には人を沈静させる効果があります。そのため、デスクワークの仕事や勉強など、集中力を要する場面では、寒色系の色を基調にした方が良いとされています。逆に、テーマパークなどでは、暖色系の色を基調にすることで、来場者に明るく活発な印象を与え、興奮や楽しさなどの感情を高めることが出来ます。
「明度」が示す心理効果には、「軽重感」「硬軟感」「膨張・収縮感」などがあります。 ◆軽重感 明度の高い色ほど軽く、明度の低い色ほど重く感じます。そのため、白い荷物を持った場合と黒い荷物を持った場合では、実際の重量は同じでも、白い荷物を持った場合の方が軽く感じます。白いダンボールを使う業者が増えたのは、体感の重量を軽くして、作業員の負担を減らすことが一因だと考えられます。 ◆硬軟感 明度の高い色ほど軟らかく、明度の低い色ほど硬く感じます。ベビー服では、軟らかさが大切な要素となるため、明度の高い色が多いです。また、重厚感を感じさせたい建物や製品などでは、明度の低い色が選ばれる傾向にあります。 ◆膨張・収縮感 明度の高い色ほど、実際よりも大きく膨らんで見え、明度の低い色ほど、実際よりも小さく縮んで見えます。 なお、背景色との明度差も、膨張・収縮感に大きく関わっています。背景色に対しての前景色の明度が高くなればなるほど、前景色がより膨張して見えます。
「彩度」が示す心理効果には、「派手・地味感」「誘目性」などがあります。 ◆派手・地味感 彩度の高い色ほど派手に、彩度の低い色ほど地味に感じます。そのため、高彩度の色の服を着ると活発に、低彩度の服を着ると落ち着いた印象になります。特に、暖色系で高彩度の色ほどより活発に感じ、寒色系で低彩度の色ほどより落ち着いた印象を与えます。 ◆誘目性 「誘目性」とは、色が人目を引く性質のことです。高彩度で、かつ暖色系の色は、「誘目性」が高いです。 ただし、色の組み合わせや、背景色とのコントラストによっても「誘目性」は変化します。いくら前景色に高彩度の暖色系の色を置いても、背景色も高彩度で暖色系の色であれば、コントラストが小さいので「誘目性」は小さくなるので、注意しましょう。 白背景に赤、黒背景に黄、などの配色は、コントラストが強く、特に「誘目性」が高いと言えます。
明度と彩度のセットで示す心理効果には、「清濁感」があります。 先述の、「純色」「清色」は、色が清らかに感じ、「濁色」は、色が濁ったように感じます。 なお、日本色彩研究所によって開発された表色系である「PCCS」では、明度と彩度を組み合わせた概念のことを、「トーン」と呼びます。PCCSのトーンは12種類あり、それぞれに異なったイメージがあります。PCCSのトーンについては、別のページで詳しく解説いたします。
背景色と前景色の明度差により、対象物の発見のしやすさや、読みやすさなどが大きく異なります。 「視認性」「明視性」「可読性」などは、背景色と前景色の明度差に影響を受けます。 ◆視認性 目で見た時の、対象物の認識のしやすさのことを、「視認性」といいます。ぱっと見た瞬間に、認識しやすければ視認性が高いと言えます。 道路標識や、広告、看板などでは、「視認性」の高い色の組み合わせが使われています。 なお、明度差以外にも、文字や図形の大きさなども、「視認性」に影響を与えます。 ◆明視性 図形や画像を見た時の意味の理解のしやすさのことを「明視性」と呼びます。 例えば、非常口への避難誘導灯は、画像を見た時にぱっと意味を理解しやすいので、「明視性」が高いと言えます。また、道路標識は、画像を見た時にぱっと意味を理解しやすいものが多いので、視認性だけでなく、「明視性」も高いと言えます。 なお、明度差以外にも、図形や画像の、絵の上手さなども、「明視性」に影響を与えます。 ◆可読性 文字の読みやすさのことを「可読性」と呼びます。 例えば、一般的な本は、白い背景に黒い文字で書かれており、「可読性」が高いと言えます。白と黒の組み合わせは、最も明度差が大きいからです。これが、白い背景に黄色い文字で書かれていると、文字を読みづらいのは容易に想像できます。 なお、明度差以外にも、文字の大きさや太さ、読みやすさ、行間や段落などのレイアウトなども、もちろん「可読性」に影響を与えます。
複数の対象の色相差によって、対象の区別のしやすさや、見分けやすさが大きく異なります。 複数の対象の区別のしやすさ、見分けやすさのことを「識別性」と呼びます。 例えば、トイレの男女のマークなどは、男性の青色と、女性の赤色の色相差が大きいので、「識別性」が高いと言えます。 また、地下鉄などの路線図の色分けや、電車の急行、準急、普通などの列車種別の色分けなども、色相差が大きく、「識別性」が高いと言えます。
コントは、以下をご参照ください。 ・有彩色と無彩色 ・色の三属性(色相、明度、彩度) ・純色、清色、濁色 ・暖色、寒色、中性色 ・色相が示す心理効果 ・明度が示す心理効果 ・彩度が示す心理効果 ・明度差、色相差が示す色の見えやすさ