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目次
人には、既に支払った費用や労力などの、回収不能となったコストを心残りに感じ、不合理な意思決定をしてしまうことがあります。このような心理傾向のことを、サンクコストバイアスと言います。別名として、サンクコスト効果、コンコルド効果、埋没費用効果などとも言われます。 例えば、新規事業に投資したけれども、上手くいかずに赤字が続いている場合、サンクコストバイアスに陥ると、損失を回収するために、さらに多くの投資をしてしまう可能性があります。しかし、サンクコストは回収できない費用であり、無駄な投資を続ければ、さらに損失が拡大するだけです。 サンクコストバイアスは、日常生活の様々な場面で見られます。今から、サンクコストバイアスに陥った例をいくつかご紹介します。 ・美容品などの商品が思ったよりも使い勝手が悪い、合わないなどの理由であっても、購入した商品を使用し続ける ・専攻や学校が自分に合わないことが分かっているにもかかわらず、それを続ける ・趣味にお金をかけすぎてしまった場合、興味を失ったり、向いていないことが分かったとしても、趣味をやめられない ・新しいテクノロジーやツールを導入したプロジェクトで、予想以上に難航しているにもかかわらず、すでに投資した労力や時間を考慮してプロジェクトを続ける ・映画やコンサートのチケットを購入したものの、内容が思ったよりもつまらなかった場合でも、既に支払ったお金を無駄にしないために最後まで見続ける ・ギャンブルで負けてしまった場合に、負けを取り戻そうとして、さらに賭ける ・何年も使っていない服を、捨てられずにクローゼットに眠らせてしまう 上記の例のように、人は、回収不能な費用を心残りに感じ、不合理な意思決定をしてしまうことがあるのです。
サンクコストバイアスの発生要因としては、以下のようなことが考えられます。 ①損失回避 人間は、利益を得るよりも損失を避けることを強く意識する傾向があります。サンクコスト(埋没費用)を諦めることは、損失を認めることになるため、心理的に抵抗があるのです。 ②一貫性の維持 人は、自分の行動や決定に一貫性を持たせたいという欲求があります。過去の投資を無駄にすることは、一貫性がないと感じるため、それを避けるために不合理な行動をとってしまうことがあるのです。 ③後悔の回避 サンクコストを諦めることで、後で「あの時続けておけばよかった」と後悔する可能性を恐れる心理が働くことがあります。その後悔する可能性を避けるために、現状を維持する行動を取ってしまうことがあるのです。 ④自己正当化 過去の投資を正当化するために、さらなる投資を続けてしまうことがあります。これは、自分が間違っていたことを認めたくないという心理や、自分の能力や判断力を過信する傾向などが影響しています。 ⑤認知的不協和 人は、自分の行動や信念と矛盾する情報に直面すると、不快感を感じます(認知的不協和)。サンクコストバイアスは、過去の投資を諦めるという決断が、それまでの行動や信念と矛盾するため、不快感を解消するために投資を継続してしまうという側面があります。
サンクコストバイアスには、以下のようなデメリットがあります。 ①経済的な損失 サンクコストバイアスは、回収の見込みがない投資を継続させるため、経済的な損失を拡大させる可能性があります。例えば、 ・失敗が明らかなプロジェクトに、更なる資金や時間を投入してしまう ・売れない商品を、値下げしてでも売り続けようとしてしまう ・価値が下がっている株を、損切りできずに持ち続けてしまう このような行動は、経済的な損失に繋がる行為であると言えます。 ②機会損失 サンクコストバイアスによって、不採算事業にしがみついている間に、新たな有望な事業に投資する機会を逃してしまう可能性があります。限られた資源(時間、お金、労力)を、過去の失敗に注ぎ込むことで、未来の成功の芽を摘んでしまう可能性があります。 ③ストレスの増加 サンクコストバイアスに陥ると、うまくいかない状況に固執し、精神的なストレスを抱えやすくなります。 ・なぜこんなに時間をかけてしまったのか ・なぜもっと早く諦めなかったのか といった後悔や自責の念に駆られ、ストレスを感じてしまうことがあります。 ④信頼の失墜 企業がサンクコストバイアスに陥り、不採算事業をずるずると続けていると、 ・経営判断ができない ・時代遅れ といったネガティブなイメージを持たれ、顧客や投資家からの信頼を失ってしまう可能性があります。
サンクコストバイアスには、数々のデメリットがあるため、対策を考えることがとても重要です。サンクコストバイアスの対策方法としては、以下のようなものが挙げられます。 ①サンクコストは無視する 将来の意思決定において、過去の投資は関係ありません。将来的な利益と損失だけを考慮して、合理的な判断をすることが大切です。 ②損失を回収できる可能性を冷静に分析する 損失を回収できる見込みがあるかどうかを冷静に分析し、回収できない場合は、早めに撤退しましょう。 ③感情から距離を置く 感情的な判断が、合理性を歪める場合があります。感情にとらわれずに理性的な選択を行うことで、合理的な判断に近づけることが可能です。 ④選択肢を見直す 既に投資したものに固執せず、他の選択肢を検討してみることが大切です。新しい視点を持つことで、より良い選択が見つかる可能性があります。 ⑤第三者の意見を聞く サンクコストバイアスに陥っている人は、過去の投資(時間、お金、労力など)にとらわれてしまい、客観的な判断が難しくなっています。第三者は、感情的なしがらみがなく、状況を冷静に判断できるため、客観的な意見を聞くことで、より合理的な意思決定ができます。 上記のような対策方法を実践することによって、サンクコストバイアスによる影響を軽減することが出来ます。
コントは、以下をご参照ください。 ・コント(サンクコストバイアス①) ・コント(サンクコストバイアス②)