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目次
人には、利益と損失を比較する際、損失の方がより重大だと感じやすく、損失を回避しようとする心理的傾向があります。このような心理傾向のことを、損失回避バイアスといいます。 すなわち、人は1万円を得ることの喜びよりも、1万円を失うことの悲しみの方が大きく感じる傾向にあります。このため、人は損失を回避するために、不確実な状況を避けたり、リスクを過度に恐れたりする行動をとることがあるのです。 損失回避バイアスの例としては、以下のようなものが挙げられます。 ・家に不要なものが溜まっているのに、なかなか断捨離が出来ない ・決断を先延ばしにする(損失を回避したいという心理により、決断に必要な情報を収集したり、検討したりする時間が長引くため) ・セール品や割引商品を、つい購入してしまう(今買わないと損だと思ってしまうため) ・ポイント2倍デーの日に、つい不要なものまで購入してしまう このように、損失回避バイアスは、日常生活の様々な場面に影響を及ぼしています。
損失回避バイアスは、なぜ発生するのでしょうか? 実は、その要因は複雑で、様々な要因が絡み合っていると考えられています。ここでは、主要な要因とそのメカニズムについて詳しく解説いたします。 ①生存本能 人類の祖先は、食料不足や外敵など、常に生存の危機にさらされていました。そのため、損失(食料の喪失、怪我、仲間の死など)は生存を脅かす重大なものであり、それを回避することに強い動機付けがあったと考えられています。この生存本能が、現代社会においても損失回避バイアスとして残っているという説があります。 ②脳の活動 脳科学の研究では、損失を経験したときには、利益を得たときよりも脳の感情を処理する部位である扁桃体が強く活動することが分かっています。つまり、損失は脳にとってより強い情動的なインパクトを与えるため、それを回避しようとする行動につながりやすいと考えられます。 ③確率加重関数 人は、確率を客観的な数値通りに捉えるのではなく、主観的に歪めて認識します。特に、低い確率を過大評価し、高い確率を過小評価する傾向があります。 例えば、宝くじで一等に当たる可能性はほとんどないにも関わらず、当たるかも知れないと思い、期待してしまうことがあります。現に、日本国内では、宝くじを購入する人が大勢います。また、飛行機が墜落する可能性は極めて低いにも関わらず、もし飛行機が墜落したらどうしようなどと考えてしまい、不安になることもあります。
損失回避バイアスは、必ずしも不合理な行動に繋がるわけではなく、危機を回避するために、重要な役割を果たすこともあります。しかし、このバイアスの影響を過大に受けてしまうと、合理的な判断ができなくなってしまうことがあります。 以下に、損失回避バイアスのデメリットを挙げます。 ①機会損失 損失を過度に恐れるあまり、新たな挑戦や変化を避けてしまうことがあります。 ・専攻:自分が専攻した学科が、自分に合っていないことに気づいた場合でも、せっかく入学したのにもったいないと思いその不向きな学科を続けてしまうことがあります。 ・転職:仕事において、現在の仕事の安定性を重視しすぎて、より良い条件の仕事への転職を諦めてしまうことがあります。 ②不必要な支出 損失を回避しようと、不必要な支出をしてしまうことがあります。 ・高額な保険:万が一の事態に備えようと、必要以上に高額な保険に加入してしまうことがあります。 ・不要なサービス:解約の手間や損失感を恐れて、不要なサービスを解約できずに料金を払い続けてしまうことがあります。 ・セール品:「限定」や「割引」といった言葉に惑わされ、必要のないものを購入してしまうことがあります。 ③状況の悪化 損失を回避しようと、かえって状況を悪化させてしまうことがあります。 ・損切り:損失を確定させることを恐れて、損失を抱えたまま投資を続け、損失が拡大してしまうことがあります。 ・問題の先送り:問題と向き合うことによる精神的な苦痛を避け、問題を先送りにしてしまい、状況が悪化することがあります。 ・人間関係:関係が悪化するのを恐れて、相手に不満を伝えられず、関係がさらに悪化してしまうことがあります。
損失回避バイアスは、その効果を逆手に取って、マーケティングや営業など、様々なビジネスシーンで活用されています。以下に、例を挙げます。 ①期間限定キャンペーン 期間限定キャンペーンは、損失回避バイアスを活用した典型的な事例です。期間限定で商品の価格を割り引いたり、期間限定商品を販売することで、その期間に購入しなければ損失を感じる消費者の心理を利用し、消費者の購買意欲を高めています。 ②地域限定販売 地域限定で販売することで、希少性や特別感を演出し、消費者の購買意欲を高めることができます。 ③数量限定 「限定100個」「本日限り」など、数量や時間に限りがあることを強調することで、今買わないと手に入らないという心理を刺激し、購買意欲を高めることが出来ます。 ④追加で購入すると、通常価格よりもお得になるパターン 追加で購入しなければ損をするという心理を利用し、消費者の購買意欲を高めています。 ⑤割引券やクーポン券 割引券やクーポン券を使わないと損をするという心理を利用し、購入を促すことができます。 ⑥返金保証 返金保証では、損をしたくないという顧客の心理に働きかけることで、商品やサービスの購入を促しています。 ⑦無料体験 無料体験期間を設けることで、顧客に「試してみないと損をする」と感じさせ、利用を促進します。無料体験後に有料会員に移行する際に、「解約するとこれまで得られた特典を失う」という損失感を強調することで、継続利用を促すことが出来ます。 ⑧ポイント ポイント制度は、同じ商品を買う場合、ポイントが貯まる店舗で買わないと損をするという顧客の心理をついています。 上記に挙げた例のように、損失回避バイアスはマーケティングやビジネスで幅広く活用されていますが、消費者の立場として合理的な判断をするためには、きちんと対策を考えることが大切です。
損失回避バイアスが発生すると、機会損失や、不必要な支出など、様々なデメリットがあるため、対策を考えることが重要です。以下に、損失回避バイアスの対策方法を挙げます。 ①損失と利得を単純に比較するのではなく、価値で判断する 例えば、期間限定の割引商品を目撃した場合、本当にその商品をその金額で購入する価値があるのかどうかを冷静に考えます。期間限定や割引商品であったとしても、その商品をその金額で購入するのに十分な価値があると判断できないのであれば、商品を購入することによる経済的な損失の方が大きいと言えます。このように、割引や特典に惑わされず、価値を冷静に判断することが大切です。 ②損失を受け入れられるマインドを身に付ける 例えば、期間限定商品や地域限定商品を購入しなかったり、クーポン券を使わなかったとしても、大して生活に影響を与えないことがほとんどです。このように、損失が、特に生活に大きな影響を及ぼすものでなければ、受け入れるマインドセットを持っておくことで、損失回避バイアスの影響を抑えることが出来ます。 ③感情的な影響を排除する 感情的な状態は、損失回避バイアスを強める可能性があります。そのため、重要な意思決定は、冷静な時に、時間をかけて行うことが大切です。感情的になっている時は、しばらく時間を空けましょう。 ④長期的な視点を持つ 短期的な損失にとらわれず、長期的な視点で物事を考えることが重要です。例えば、将来の目標や人生の目標など、長期的な目標を設定することで、短期的な損失に惑わされず、より良い意思決定ができます。 損失回避バイアスは、マーケティングや営業などで幅広く活用されている手法なので、消費者として合理的な判断をするためにも、上記のような対策をしっかりと取りましょう。
当Webサイトでは、損失回避バイアスの他にも、様々な認知バイアスを解説しております。 その他の認知バイアスは、以下をご参照ください。 ・ハロー効果とは ・確証バイアスとは ・計画錯誤とは ・正常性バイアスとは ・バラ色の回顧とは ・透明性の錯覚とは ・アンカリング効果とは ・知識の呪いとは ・後知恵バイアスとは ・権威バイアスとは ・対応バイアスとは ・現在バイアスとは ・サンクコストバイアスとは ・行為者観察者バイアスとは ・生存バイアスとは