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モンテッソーリ教育(解説)

このページでは、モンテッソーリ教育の全体像について、簡単に解説いたしております。
一番上から読み進めていただいてもいいですし、長い文章を読むのが苦手な方は、コントから読み進めていただくのもよいと思います。
モンテッソーリ教育の教えを通じて、皆様の子育てがより楽しく充実したものとなりますことを、また、皆様の尊いお子様の健やかな成長に繋がりますことを、心より願っております。

目次

1.モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育は、20世紀初頭にイタリアの医師・教育学者であるマリア・モンテッソーリ(Maria Montessori)によって考案された教育法です。
モンテッソーリ教育では、子どもは、生まれながらにして知的好奇心や学習意欲を持っており、自発的に学び成長する能力を持っていると考えます。そして、保育者が、その能力を最大限に引き出すような教育環境を整えることを重視しています。

2.モンテッソーリ教育を行う上での前提となる大人の考え方

モンテッソーリ教育を行うにあたって、大人が前提として持っておくべき考え方は以下の通りです。

①大人は、子どもに対して、尊敬・信頼の念を持って接すること
②大人は、危険を伴う場合を除き、子どもがやろうとしていることに対しては、手出し口出ししないこと
③大人はあくまでもサポート役であり、子どもの成長の主役はあくまでも子どもであると認識すること

上記の考え方は、アドラー心理学における対人関係の考え方と共通しています。
①に関して、相互尊敬・相互信頼を持つことは、勇気づけを行うための前提条件です。
②に関して、過保護・過干渉は、アドラー心理学では、子供の成長の妨げになると考えます。
過保護・過干渉をしないためには、③の課題の分離が肝要です。
③に関しては、「課題の分離」のことです。おおよその人間関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み入ることによって発生します。そのため、親であっても、子ども自身の課題には土足で踏み入らないことが大切です。もちろん、子どもから要請があった場合は、それは子どものみの課題ではなく共同の課題になるので、親が積極的にサポートしても大丈夫です。

このような考え方は、アドラー心理学を学んだ人であれば自然と身に付いていると思いますが、アドラー心理学を学んでいない人にとっては分かり辛い部分もあるかも知れません。そのため、アドラー心理学を学んだことがない方は、先に、アドラー心理学のページを読むことをお勧めいたします。
アドラー心理学とモンテッソーリ教育をセットで学ぶことで、より子育てが楽しくなり、子どもの成長にも繋がるでしょう。

3.モンテッソーリ教育の特徴

モンテッソーリ教育の特徴は、次の通りです。

①子どもの「自己教育力」を重視する
②子どもの自然な発達に沿った教育を行う
③子どもが自立して学ぶことができる環境を整える
④「教具」を活用して、子どもの学びをサポートする
⑤子ども同士の「協働学習」を重視する

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

① 子どもの「自己教育力」を重視する

モンテッソーリ教育では、子どもは生まれながらにして自ら学び、成長していく力を持っていると考えます。このことを、「自己教育力」と呼びます。

例えば、誰かに二足歩行の方法を教わらなくても、自ら二足歩行に向けて少しずつ身体を発達させていきますし、歩き方を教わらなくても、自然と歩けるように身体を発達させていきます。この「自己教育力」を十分に発揮できる環境を用意することが、保育者の役目です。

「自己教育力」を重視するにあたっては、大人が子どもの代わりにやってあげる、教えてあげる、指示するなどといったことは行わずに、子ども自身が試行錯誤して、自ら能力を身に付けるのを見守る姿勢が大切です。子どもが身に付けるべきことを保育者が代わりに行ってしまうと、子どもが能力を身に付ける機会を奪ってしまうことになるからです。

保育者は、子ども自らが主体的・自発的に学ぶ力を信じて、見守る姿勢が大切なのです。

② 子どもの自然な発達に沿った教育を行う

モンテッソーリ教育では、子どもの自然な発達に沿った教育を行うことを重視しています。子どもの、その時の興味・関心に沿った教育を行うことが大切で、大人が学ばせたいことを無理やり子どもに学ばせてはいけません。

また、モンテッソーリ教育では、「敏感期」と呼ばれる、子どもが特定のことに強く興味を持ち、集中して学習する時期を大切にしています。

子どもの成長過程においては、「この時期に、この能力が発達する」のにベストな時期というものがあります。「敏感期」は、まるでそのときだけスポットライトが当たっているかのように、限定的に、強く表れるため、その能力を獲得するベストタイミングであるといえます。

マリア・モンテッソーリが、「保護者や教師が、子どもの敏感期を見落とすことは、終バスに乗り遅れるようなものだ」と言うくらい、敏感期に能力を身に付けることは大切なのです。
「敏感期」については、以下で詳しく解説します。

③ 子どもが自立して学ぶことができる環境を整える

モンテッソーリ教育では、保育者が、子どもが自立して学ぶことが出来る環境を整えることが大切と考えます。ここでいう「環境」とは、子どもの周りのもの全てを指します。机、椅子、棚、食器のような家具、ブロックや塗り絵、絵本などの、「物的環境」だけでなく、親や保育士など、子どもの接する「人的環境」も含めたあらゆる環境の影響を受けながら、子どもは成長していると考えます。

子どもが母国語を身に付けていく様子をイメージしていただくと分かりやすいと思います。子どもは、環境からあらゆることを吸収するように学ぶので、日本で育てば日本語が身に付き、アメリカで育てば英語が身に付きます。しかし、生きていく上で必須となる、運動能力や感覚器官、社会性などは、いずれの国で育った場合でも発達するでしょう。

子どもは環境から学ぶがゆえに、親が足でドアを開閉すれば、子どもも自然と足でドアを開閉します。逆に、親がドアを手で丁寧に開閉すれば、子どももドアを手で丁寧に開閉します。

このような例からも、親や周りの人は、子どもが見ている時に、子どもの成長にとって相応しい振る舞いが出来ていることが、極めて重要であると言えます。

④ 教具を活用して子どもの学びをサポートする

モンテッソーリ教育では、子どもの学びをサポートするために、「教具」の活用を重視しています。

教具とおもちゃの違いは、おもちゃは子どもを楽しませるものですが、教具は子どもの内なる力を成長させるものです。そのため、教具はシンプルに作られていて、子どもの能力をよく発達させるために、繰り返し学べるように作られています。

モンテッソーリ教育における教具には、以下のものがあります。
・感覚教具
・言語教具
・算数教具
・文化教具

感覚教具は、子どもの五感を刺激する教具です。色や形、大きさ、重さ、質感など、さまざまな感覚を体験することで、子どもの脳の発達を促します。
言語教具は、子どもの言語能力や、コミュニケーション能力を育む教具です。絵本やカード、文字ブロックなど、子どもの興味を引くような教具を用いることで、子どもに自然と言語を学んでもらうことができます。
算数教具は、子どもの数字感覚や計算能力を育む教具です。ビーズやブロック、数のカードなどを用いることで、子どもが楽しみながら数を学ぶことができます。
文化教具は、子どもの文化的理解を深めるために使用される教具です。絵本やカード、人形、パズルなどを用いて、日本や世界の文化を学ぶことができます。

モンテッソーリ教具は、子どもの興味や関心に合わせて選ぶようにしましょう。子どもが自発的に学習し、成長するきっかけを与えてくれます。

⑤ 子ども同士の協働学習を重視する

モンテッソーリ教育では、子ども同士の「協働学習」を重視しています。「協働学習」とは、子どもたちがお互いに助け合いながら学習することです。
モンテッソーリ教育では、子ども達が、自分達のペースで、自分の興味や関心に基づいて、学ぶことができます。そのため、同じ学習内容を学んでいる場合でも、一人ひとり学習の進度が異なります。

協働学習では、子どもたちがお互いに助け合うことで、ある学習の進度が早い子どもが、その学習の進度が遅い子供の、学習のサポートをします。このように、子どもたちがお互いにコミュニケーションを取り合うことで、社会性や協調性を育むことができます。また、子どもたちがお互いの考えを共有することで、新しい発見や学びに繋がるかも知れません。

協働学習をスムーズに進めるためには、普段から保育者が、他者に対して尊敬・信頼の念を持って接しているところを子ども達に見せておくことが大切です。そうすることで、自然と子ども同士で接する時も、他者に対して敬意を払うことが出来るようになります。

4.「敏感期」について

「敏感期」は、モンテッソーリ教育においてとても重要な用語です。
「敏感期」とは、子どもが特定のことに強く興味を持ち、集中して学習する時期のことです。子どもの成長過程においては、「この時期に、この能力が発達する」のにベストな時期というものがあります。保育者は、そのベストな時期である「敏感期」を見逃さずに、その時期に相応しい環境を提供することが大切です。

・運動の敏感期 (6ヶ月~4.5歳)
歩く、立つ、座るなどの体全体を使った粗大運動から、指先を使う微細運動にいたるまで、自分の意志で体を動かすことがとても楽しい時期です。この時期に、子どもが思う存分体を動かせるような環境を用意することで、子どもの運動能力が大きく発達します。また、モンテッソーリ教具を使うことは、子どもの微細運動の習得に役立ちます。

・秩序の敏感期 (6ヶ月~4歳)
場所や順番などが、いつもと同じであることに強いこだわりを見せる時期です。場所や順番が、いつもと同じだと安心感を覚え、いつもと違うと不快感を覚えます。この時期は、自分の力で物を整頓したり、並べたりできるような能力を身に付けるのに適した時期です。

・感覚の敏感期 (0ヶ月~6歳)
色、形、大きさ、重さ、音、味、触覚など、五感を刺激する様々なものに対して、強い興味や関心を持つ時期です。また、実際にモノを自分の手で触ったり、動かしたり、見たり、聞いたり、嗅いだり、味わったりすることで、周りの世界をより深く理解しようとします。この時期に、本物の音楽や芸術作品に触れたり、自然遊びを楽しんだりすることは、感覚器官の発達にとても良い影響を及ぼします。

・小さいものへの敏感期 (1歳~3歳)
小さいものに目の焦点を合わせることに喜びを感じる時期です。また、小さいものに触れたり、動かしたり、並べたり、積み重ねたりすることにも興味を持ちます。小さなものに対する、鋭い観察力が身に付く時期であるので、子どもが小さなものに興味を持っているようであれば、優しく見守りましょう。

・言語の敏感期 (7ヶ月~5.5歳)
言葉を聞くことや、話すことが楽しくて仕方がない時期です。また、言葉の意味を理解しようとしたり、言葉を使ってコミュニケーションを取ることにも興味を持ちます。胎生7か月から3歳までの期間は、特に、母国語の基本を習得する重要な時期であると言われています。

・書くことの敏感期 (3~5歳)
文字を書くことに強い興味や関心を持つ時期です。「書くことの敏感期」は「読むことの敏感期」よりも先に来るため、まだ字が読めなくても問題ありません。 とにかく文字を書いてみたい時期なので、この時期に気が済むまで文字を書くことで、書く力が発達します。

・読むことの敏感期 (4~5.5歳)
文字を読むことが楽しくて仕方がない時期です。文字が書いてある本や、絵本を近くにおいておけば、子ども自ら読み始めます。 この時期に、子ども自ら読む環境を整えてあげることで、子どもの読む力が大きく発達します。

・数の敏感期 (3~6歳)
数や数の性質に強い興味を持ち、集中して学習する時期です。数を読んだり数えたり、多い、少ないといったことにも興味を持ちます。数の敏感期を大切にすることが、ゆくゆくは子どもの論理的思考力や問題解決力にも繋がってくるので、この時期にしっかり数について学んでおきたいところです。

・文化・礼儀の敏感期 (4.5歳~)
地域の文化や風習、礼儀だけではなく、他の世界の文化や風習にも強く興味や関心を持つ時期です。この時期に、社会とのかかわり方や道徳心、倫理観などが発達しやすいです。

5.オススメ書籍

モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て

『モンテッソーリ教育が教えてくれた「信じる」子育て』の画像

本書では、モンテッソーリ教育の考えに基づいた子供との接し方や、子育てにおいて大切にすべきことなどが、詳しく解説されています。
モンテッソーリ教育を家庭での子育てに取り入れる方法が紹介されているので、家庭でモンテッソーリ教育を実践したいとお考えの方には、とてもオススメです。
また、育児でよくある悩みとその対応方法が解説されており、実際の育児において役に立つ情報が満載です。

モンテッソーリ流 声掛け変換ワークブック

『モンテッソーリ流 声掛け変換ワークブック』の画像

本書は、「子どもが尊重される社会」を目指して日々ご活動なさっている著者が、「日々子どもと関わる中で、言葉をかけているけれど、思うように伝わらない」という読者の悩みに応えるべく、子どもに伝わる声掛けの例を、多数ご紹介されています。
シチュエーション別に子どもに伝わる声掛けの手法をご紹介されていて、声掛けのOK例とNG例が両方提示されているため、実際の自分の子育てと照らし合わせながら、子どもにきちんと思いが伝わっているのかを確認することが出来ます。
実際の子育てにおいて使える実例が満載のため、現在子育て中の方にとって、打って付けの本です。

6.コント

下記ページにて、モンテッソーリ教育をコントで解説しております。是非ともご覧ください。
・コント(モンテッソーリ教育の概要)
・コント(モンテッソーリ教育の特徴)
・コント(敏感期)

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