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目次
人には、将来得られる大きな利益よりも、目先の小さな利益を優先してしまう心理的な傾向があります。このような心理傾向のことを、「現在バイアス」と言います。 現在バイアスに陥ると、即時の報酬や満足感を好み、将来の利益や目標のために、遅延した報酬を選択することが難しくなります。例えば、以下のような例があります。 ①将来、健康的な体を手に入れるという大きな利益よりも、今すぐ甘いケーキを食べるという小さな利益を優先してしまう ②ついつい夜更かししてしまう(今:面白い動画を見て楽しむ→小さな利益, 未来:睡眠不足で翌日のパフォーマンスが低下→大きな損失) ③セールにつられて衝動買い(今:安く買えたという満足感→小さな利益, 未来:不要なものを買ってしまい、お金を無駄にする→大きな損失) ④今すぐもらえる10万円と、一週間後にもらえる10万1千円なら、今すぐもらえる10万円を選択する 上記に挙げた例のように、人は、将来の利益よりも目先の小さな利益を優先する傾向にあります。 しかし、その一方で、一年後にもらえる10万円と、一年と一週間後にもらえる10万1千円なら、一年と一週間後にもらえる10万1千円を選ぶ人が多いことも分かっています。これは、遠い将来なら待てるが、近い将来ならば待てない「双曲割引」という、行動経済学の用語で説明が可能です。 双曲割引とは、現在に近ければ近いほど価値を高く感じ、現在から未来へ離れれば離れるほど価値を低く感じる傾向のことです。なお、未来に向かって価値が比例グラフのように一定に下がるのではなく、反比例のグラフのように、今日から離れると一気に価値が下がる曲線を描くことを特徴としています。
現在バイアスの発生要因としては、以下ようなことが考えられます。 ①人間の脳の報酬系の性質 脳内の報酬系は、即時の報酬を感じる際に活発に働くという性質があります。このような脳の性質が、現在バイアスの発生の一因となっていると考えられます。報酬系は、即時報酬に対しては強く反応を示す一方、未来の報酬に対しては弱い反応を示すのです。 ②未来の不確実性 将来の出来事や結果は不確実で予測が難しいことが多いため、人は、現在の欲求を確実に満たすことに焦点を当てる傾向にあります。不確実性が高い事象においては、現在の利益を優先することも間違いではないですが、不確実性が極めて低いことに対して、将来の大きな利益より現在の小さな利益を優先することは、合理的ではないと言えるのではないでしょうか。 ③人は意思決定をするのに十分な時間がなく、問題が複雑な場合は、ヒューリスティックで判断しやすいため ヒューリスティックとは、緻密な論理で一つ一つ確認しながら判断するのではなく、経験則や先入観に基づき、直感で素早く判断することを指します。一般的に、目先のことを判断するよりも、将来のことを判断することの方が、思考が複雑になり、より多くの脳の認知資源を使う必要があるため、ヒューリスティックで判断した場合は目先の小さな利益を優先しがちになります。 上記のような理由から、例えば、一週間後に10万1千円貰える方がお特なのに、目先の10万円を選ぶ可能性が高くなります。
現在バイアスに陥ると、経済的な損失を被ったり、将来の目標を達成できない可能性が出てきてしまうため、対策をすることが重要です。現在バイアスの対策方法としては、以下のようなことが考えられます。 ①将来の利益を具体的にイメージする 例えば、ダイエットの場合、将来得られる健康的な体や、健康的な体を手に入れてからしたい行動などを具体的にイメージすることにより、誘惑に左右されにくくなります。 ②将来の利益を金額で表す 将来の大きな利益と目先の小さな利益を具体的な金額で、定量的に表すことにより、目先の誘惑に左右されにくくなると考えられます。 ③将来の利益をグラフで視覚化する 将来の大きな利益を具体的にイメージするための手段として、グラフで視覚化することは有効であると考えられます。 ④他人の意見を聞く 目先の小さな利益に囚われそうな場合に、第三者からの客観的な意見を聞くことにより、よりよい意思決定を選択できる可能性があります。 ⑤時間をかけた意思決定をする 意思決定に時間をかけることで、冷静になり、将来の大きな利益を選択できる可能性が高まります。 上記のような対策方法を取ることで、現在バイアスによるによる影響を、緩和することが出来ます。
コントは、以下をご参照ください。 ・現在バイアス① ・現在バイアス② ・現在バイアス③